今月(2026年6月)、日銀が金融政策決定会合で政策金利1%程度に引き上げを決定しました。
今回の利上げを正しく理解するために、まず歴史を振り返ってみましょう。
1985年のプラザ合意で急激な円高が進行し、日本経済は円高不況に。
これに対応するために低金利政策が長期化し、公定歩合は1987年に史上最低の2%台にまで低下し、
1989年春まで低金利が続きました。この金融緩和の長期化がバブル経済を生み出しました。
その後、過熱した資産価格や景気を抑制するため、日銀は金融引き締めに転じました。
日本銀行は1989年5月から1990年8月にかけて公定歩合を2.5%から6%に段階的に引き上げました。
この金利引き上げが投資意欲を大きく減退させ、不動産向け融資を制限する総量規制と合わさって株式市場不動産市場の下落につながり、バブル崩壊が始まりました。
その後は長い低金利時代に突入します。バブル崩壊後、日本は景気対策として金利を大幅に引き下げ、2010年代には政策金利がほぼゼロの状態で長期間推移しました。
<金利の遷移>
| 時期 | 政策金利 | 背景 |
|---|---|---|
| 1987年 | 2.5% | バブル形成期・低金利政策 |
| 1989年 | ~4.2% | 段階的な引き上げ |
| 1990年 | 6% | バブル抑制のための急激な引き上げ |
| 1995年〜 | 1%以下 | バブル崩壊後の景気対策 |
| 2010年代 | 実質ゼロ〜マイナス | デフレ対策・異次元緩和 |
| 2024年〜 | 0→0.75% | 金利を段階的に引き上げ、正常化局面へ |
| 2026年 | 1% | 約30年ぶりの水準 |
今起きていることは「異常な時代の終わり」
1%という数字が30年ぶりと言われますが、歴史的に見れば1%は高金利とは言えません。
ただし、長くゼロ金利に慣れてきた日本経済にとっては、住宅ローン、不動産、REIT、借入依存度の高い企業には無視できない変化です。
過去の利上げ局面で株式市場はどう動いたか 直近のデータで見ると、利上げと株価の関係は注意が必要です。
2024年以降の利上げ局面では、株価が大きく揺れた場面もありました。
ただし、2024年3月のマイナス金利解除直後は日経平均が上昇しており、「利上げ=必ず株安」と単純化することはできず、利上げだけでなく、為替、米国株、関税政策、投資家心理など複数要因が重なった結果と見るべきと感じています。
影響セクターについて
セクターによっても明暗が分かれます。
利上げ局面でまず恩恵を受けやすいのが銀行株で、金利が上がると、銀行は貸出金利を引き上げやすくなります。
一方で、預金金利の上昇は貸出金利よりも緩やかになりやすいため、貸出金利と預金金利の差、いわゆる「利ざや」が拡大しやすくなります。これが銀行の本業である資金利益を押し上げます。
注意したいのが不動産・REIT系です。
REITは物件取得のために借入を活用するため、金利上昇によって支払利息が増える可能性があります。
また、国債など安全資産の利回りが上がると、REITの分配金利回りとの比較で相対的な魅力が低下しやすくなります。
もちろん、すべての不動産・REITが悪いわけではありません。賃料上昇力のある物件を持つREITや、財務が健全な不動産会社は金利上昇局面でも耐性があります。
ただし、銀行株のように金利上昇が素直に追い風になりやすい業種とは異なり、借入コストや利回り比較の影響を受けやすい点には注意が必要です。
金利1%で何が変わるか
利上げが株価に影響する主なルートは3つです。
①円高圧力:金利上昇で円高が進みやすくなり、輸出企業の業績に逆風。
②借入コストの上昇:企業の資金調達コストが上がり、特に不動産・インフラ系に影響が出やすい。
③預金・債券との競争:預金金利が上がると「わざわざ株を買う必要があるか」という比較が生まれ、特に低利回り株から資金が抜けやすくなる。
逆に言えば、配当利回りが預金を大きく上回る水準を維持できている銘柄は引き続き選好されると考えています。
自分はどう動くか 正直なところ、1%程度の利上げでポートフォリオを大きく変える気はありません。
保有銘柄の平均配当利回りは3〜4%台が中心。物価上昇率も政府が2%を目指している中、
政策金利が1%になっても、その差は依然として大きく「配当をもらいながら待つ」という戦略の優位性は変わらないと判断しています。
まとめ 40年の歴史を振り返ると、
金利1%は、歴史的には高金利ではありません。
ただし、ゼロ金利に慣れた日本市場にとっては、銘柄選別の重要性が増す局面です。
借入依存度の高い企業やREITには注意しつつ、増配力のある高配当株、内需安定株、財務健全な企業を中心に、キャッシュ余力を持って配当を積み上げていく。この方針を粛々と続けたいと思います。

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