以前、投稿した内容の追加考察になりますが、
野村総合研究所(野村総研)は、2005年以降の富裕層推計において、純金融資産1億円以上5億円未満を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と定義しています。
この基準は現在も大きく変わっていません。しかし、同じ1億円でも、2005年の1億円と2026年の1億円では、生活実感はかなり違います。
ここでは、ビッグマック、マンション価格、消費者物価指数という3つの視点から、現在の「実質的な富裕層ライン」で考えてみました。
検証① ビッグマック指数で見ると
身近な物価の変化を測る例として、ビッグマック指数(価格)があります。
日本のビッグマックは、2005年には250円でした。その後、値上げを重ね、2025年には480円、2026年2月には500円まで上昇しています。つまり、2005年比でちょうど2倍です。
この上昇率をそのまま1億円に当てはめると、2005年の1億円は、現在の感覚では約2億円に相当します。
もちろん、ビッグマックはあくまで単一商品の価格です。生活全体の物価をそのまま表すものではありません。それでも、身近な商品の価格が2倍になっているという事実は、1億円の実感価値が変わったことを直感的に示していますね。
検証② 東京のマンション価格で見ると
資産の実感として、さらに大きいのが住宅価格です。
2025年の東京23区の新築分譲マンション平均価格は1億3,613万円となり、3年連続で1億円を超えました。都心6区に限れば、平均価格は1億9,503万円と、ほぼ2億円に迫っています。
70㎡のファミリータイプで見ても、㎡単価211.2万円なら約1億4,800万円です。
つまり、純金融資産1億円を持っていても、東京23区でファミリー向けマンションを買えば、金融資産の多くが不動産に置き換わる計算になります。住宅ローンを使う場合でも、返済負担、教育費、老後資金を考えると、「1億円あるから余裕」とは言いにくいのが今の現実です。
ここが、野村総研の定義と生活実感のズレです。
純金融資産1億円は、統計上は間違いなく富裕層です。しかし、東京で家族を持ち、住宅費や教育費を抱えながら暮らす世帯にとっては、「富裕層になった」という実感を持ちにくい水準になっていると思います。
検証③ 消費者物価指数で見ると
消費者物価指数で見ると、ビッグマックやマンションほど極端な上昇ではありません。
2025年の全国消費者物価指数は、総合指数で前年比3.2%上昇しました。2005年からの長期で見ても、生活全体の物価はおおむね20~30%程度上昇している感じでしょうか。
ただし、これは平均値です。
実際の家計では、食費、光熱費、外食費、教育費、住居費など、日々の支出に直結する項目の上昇を強く感じます。特に子育て世帯や都市部で暮らす世帯ほど、「統計上の物価上昇率以上に生活コストが上がった」と感じやすいのではないでしょうか。
では、富裕層ラインはどのあたりか
3つの指標を並べると、次のように整理できます。
| 視点 | 2005年の1億円の現在価値イメージ |
|---|---|
| ビッグマック価格 | 約2億円 |
| 東京マンション価格 | 1.5億〜2億円超 |
| 消費者物価指数 | 約1.2〜1.3億円程度 |
どの指標を見るかによってブレはありますね。
生活全体の物価だけで見れば、1億円の現在価値は1.2億円前後かもしれません。一方で、東京の住宅価格や身近な外食価格まで考えると、純金融資産2億円前後が目安ラインではないでしょうか。
資産はあるのに富裕層の実感がない
純金融資産1億円を達成しても、富裕層になった実感がない人は多いと思います。
野村総研の「純金融資産1億円以上=富裕層」という定義は、統計上の分類としては今も有効です。
しかし、2005年と2026年では、1億円の生活実感は大きく変わりました。ビッグマック価格は約2倍、東京23区の新築マンション平均価格は1億円を大きく超え、都心部では2億円に迫っています。
そして本当に大事なのは、総資産額だけではありません。
金融資産の多くが株式や投資信託であれば、相場が2割下がるだけで2,000万円が減ります。東京のファミリー向けマンションは1億円を超え、都心部では2億円近い物件も珍しくありません。食費、光熱費、教育費も上がっています。
つまり、1億円という数字は大きいものの、生活を大きく変えるほどの安心感までは得にくくなっているのです。
毎年の生活費をどれだけ安定してカバーできるか。配当、利息、家賃収入、年金など、継続的なインカムがどれだけあるか。
この視点で資産を積み上げていくことが、本当の意味での経済的自由につながると考えています。



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