なぜ、投資をするのか。
・老後が不安だから。
・配当金が欲しいから。
・インフレに負けたくないから。
・会社員の収入だけに依存したくないから。
理由はいくつかあると思いますが、一番しっくりくるのがr>gという不等式でしょうか。
フランスの経済学者トマ・ピケティが『21世紀の資本』で示した有名な不等式です。難しそうに見えますが、意味はとてもシンプルです。
r>gとは何か
rは資本収益率(Rate of return on capital)です。
株式、債券、不動産、事業など、資産を持つことで得られるリターンを意味します。配当、利息、家賃収入、値上がり益などがこれにあたります。
一方、gは経済成長率(Growth rate of national income)です。
個人目線で言えば、会社員の給与や社会全体の所得がどれくらい伸びるかに近い感覚です。
ピケティは、長期の歴史データをもとに、資本収益率 r は経済成長率 g を上回りやすいと指摘しました。ざっくり言えば、資産から得られるリターンの方が、働いて得る所得の伸びよりも大きくなりやすい、ということです。
これが、r>gです。
この不等式が意味すること
要するに、資産を持っている人の富が増えるスピードは、給与だけで生きている人の所得が増えるスピードより速くなりやすいということです。
数字で見ると、かなり分かりやすいです。
| 経過年数 | 給与・経済成長イメージ g=1.5% | 資産運用 r=4.5% |
|---|---|---|
| 10年 | +16% | +55% |
| 20年 | +35% | +141% |
| 30年 | +56% | +275% |
年1.5%で伸びる世界と、年4.5%で増える世界。
最初は小さな差に見えます。
でも、10年、20年、30年と時間が経つほど、差は大きく広がっていきます。これが複利の力ですね。
そしてこの差は、個人の努力不足ではありません。資本主義の仕組みそのものに近い話だと思っています。
日本の現実と照らし合わせると
日本の会社員の給与は、ここ30年ほど大きく伸びてきませんでした。
もちろん、最近は賃上げの動きも出ています。とはいえ、長期で見れば、日本の賃金は伸び悩んできたという実感を持つ人は多いのではないでしょうか。
一方で、東京のマンション価格は大きく上がりました。株式市場も長期で見れば上昇してきました。インフレによって、食費、光熱費、教育費などの生活コストも上がっています。
つまり、働いて得る収入だけに頼っていると、資産価格や物価の上昇に追いつきにくくなる。
「一生懸命働いているのに、なぜか豊かになった気がしない」
この感覚は、気のせいでも、努力不足でもないと思います。
給与の伸びよりも、資産価格や資本収益の伸びの方が強い。そういう構造の中で生きているからです。
では、個人はどうするか
ピケティは、格差拡大への対策としてグローバルな資本課税を提唱しました。
ただ、これは国家や国際社会の話です。個人がすぐにどうこうできる話ではありません。
では、個人として何ができるのか。私は、資本を持つ側に少しずつ回ることだと思っています。
・株式を持つ。
・投資信託を持つ。
・債券を持つ。
・不動産を持つ。
・事業を持つ。
形は何でもいいと思います。
大事なのは、給与(労働)だけに依存せず、rのリターンを生む資産を少しずつ積み上げていくことです。
私が高配当株を選んだ理由
資本を持つ方法はいろいろあります。
インデックス投資でもいい。成長株でもいい。不動産でもいい。事業でもいい。どれも資本収益を得る方法です。
その中で、私が高配当株を選んでいる理由は、rのリターンを「見えるキャッシュフロー」として受け取りたいからです。(見えないとモチベーションもあがりません。。)
株価は毎日上下します。含み益は相場次第で増えたり減ったりします。
でも、配当金は保有している限り、定期的に口座へ振り込まれます。
もちろん、減配や無配のリスクはあります。高配当株なら何でもいいわけではありません。
それでも、配当金という形で資本収益を受け取れることは、投資を続けるうえで大きな支えになります。
私にとって高配当株投資は、r>gの恩恵を一番実感しやすい方法です。
投資は特別な人だけのものではない
投資というと、才能がある人、相場が読める人、お金に詳しい人だけがやるものだったのが、今は、普通の会社員こそ、少しずつ資本を持つ必要があると思っています。
給与だけに依存していると、gの世界でしか生きられません。でも、資産を持てば、rの世界にも参加できます。
最初は小さくても、時間をかければ資本は育っていくのでコツコツと続けることが大事かなぁと感じています。
まとめ
なぜ投資をするのか。というと、給与だけに依存していると、経済的な自由に近づきにくいと感じているからですね。
ピケティの r>g は、資本主義の中では、資産を持つ人の富が増えやすいことを教えてくれます。
もちろん、投資にはリスクがあります。必ず儲かるわけではありません。株価が下がることもありますし、配当が減ることもあります。
それでも、資産を持たなければ、rの恩恵を受けることはできません。
投資は、特別な人だけのものではありません。
r>gという構造を理解し、その恩恵を受ける側に少しずつ回るための、合理的な選択だと思っています。
給与で生活を支えながら、資産で未来を作る。これが投資を始めて、そして今も続けている理由です。
なお、r>gは資本主義の長期的な傾向を示す考え方であり、すべての時期・すべての投資で必ず資産収益が給与上昇を上回るという意味ではありませんので、そこはご留意いただければと思います。


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