2026年最大のIPOと言われたSpaceX。SpaceX株が、IPO公募価格を下回りました。
私は今回のIPOで4株の配分を受け、上場後の早い段階ですべて売却しています。その後の値動きを見ると、結果だけ見れば、短期的には良い判断だったのかなと思っています。
ただし、今回の値動きから得られる教訓は「SpaceXに将来性がない」ということではありません。むしろ、どれほど注目度の高い企業でも、期待が先行した株価は大きく変動するということだと思います。
もちろん、これでSpaceXという会社の価値がなくなったという話ではありません。
むしろ事業としては、Starlink、Starship、衛星通信、宇宙インフラ、AI関連事業など、長期で見れば非常に大きな可能性を持つ会社だと思っています。
ただ、株価という意味では、上場直後の期待がかなり先行していた印象もあります。
IPO価格135ドルから一時225ドル超へ
SpaceXは2026年6月12日、1株135ドルのIPO価格でNASDAQ市場に上場しました。上場直後から買いが集まり、6月16日には一時225.64ドルまで上昇しています。
しかし、その後は下落基調となりました。
7月16日には131.11ドルで取引を終え、終値として初めてIPO価格を下回りました。翌17日の終値は123.99ドルです。
IPO価格からは約8.2%、最高値225.64ドルからは約45.0%の下落となります。わずか約1カ月でこれだけ動いたことからも、上場直後の熱狂と値動きの激しさが分かります。
なぜ下がっているのか
理由はいくつかあると思います、以下に記載してみようと思います。
ロックアップ解除への警戒
まず大きいのは、ロックアップ解除への警戒です。
IPO直後は、創業者、従業員、初期投資家などが保有する株式に売却制限がかかっています。
ただ、その制限が解除されると、追加の株式が市場に出てくる可能性があります。
報道では、SpaceXはIPO時に市場へ出した株式が全体の一部に限られており、今後ロックアップ解除によって追加株式が市場に出る可能性が指摘されています。
もちろん、ロックアップが解除されたからといって、すべての株主が一斉に売るわけではありません。
ただ、市場は「売られるかもしれない」という可能性を先に織り込みます。
需給面で不安があると、株価は上がりにくくなります。今回の下落には、このロックアップ解除への警戒感がかなり影響しているように見えます。
NASDAQ100採用の買いが一巡した
SpaceXは上場後、NASDAQ100など主要指数に採用されました。
指数に採用されると、NASDAQ100連動の投資信託やETFが機械的に買う必要があります。いわゆるパッシブ資金の流入です。
これは短期的には大きな買い材料になりますが、こうした買いは一度入れば終わりです。
採用が決まる前に先回りして買っていた投資家が、実際の採用後に売り始めると、需給は逆転しやすくなります。
つまり、NASDAQ100採用は長期的にはプラス材料かもしれませんが、短期的には「材料出尽くし」になった可能性があります。
Starship試験飛行の中止
もう一つの要因が、Starship試験飛行の中止です。
上場後初の大きなイベントとして注目されていたStarshipの試験飛行が、エンジン関連の問題で直前に中止されました。
SpaceXの長期的な成長ストーリーにおいて、Starshipは非常に重要です。
次世代Starlink衛星の打ち上げ、月・火星計画、宇宙輸送コストの低下。
これらの大きな物語の中心にあるのがStarshipです。
そのため、試験飛行の延期や中止は、短期的な投資家心理にはかなり影響します。
もちろん、ロケット開発では失敗や延期は珍しいことではありません。むしろSpaceXは、試行錯誤を重ねながら改善していく会社です。
ただ、上場直後で期待値が高かったタイミングだけに、株価にはネガティブに働いたのだと思います。
バリュエーションへの疑問
最後は、やはりバリュエーションです。
SpaceXは夢のある会社です。
Starlinkは世界中のインターネットインフラになる可能性があります。
Starshipが成功すれば、宇宙輸送のコスト構造が変わるかもしれません。
AI関連事業との組み合わせも、大きな成長余地があります。
ただ、問題は「その夢にいくら払うのか」です。
IPO価格の時点でも非常に大きな時価総額でした。さらに上場直後に225ドル台まで上がったことで、期待はかなり先まで織り込まれていたと思います。
どれだけ素晴らしい会社でも、高すぎる価格で買えばリターンは低くなります。
今回の株価下落は、SpaceXの事業価値そのものが否定されたというより、上場直後の期待が少し冷静に見直されている段階なのかなと思っています。
ロックアップは段階的に解除される
SpaceXのロックアップは、一般的な「上場180日後に一斉解除」ではなく、決算発表や経過日数に応じて段階的に解除されます。
目論見書に記載された主な解除予定は以下のとおりです。株数はいずれも「最大」であり、解除された株式が実際にすべて売却されるわけではありません。
| 区分 | 会社全体に対する概算割合 | 備考 |
|---|---|---|
| IPOで発行された株式 | 約4.9% | 当初から売買可能 |
| 180日ロックアップ対象 | 約35% | 段階的に解除され、2026年12月までに特別分を除き解除 |
| 延長ロックアップ+マスク氏保有分 | 約60% | 2027年にかけて段階解除 |
| 合計 | 100% |
今後は事業の進捗を確認したい
SpaceXの将来性まで失われたわけではありません。今後は短期的な株価よりも、Starlinkの収益拡大、Starshipの開発と打ち上げ実績、大規模な設備投資に見合う利益を生み出せるかを確認したいところです。
上場後初となる決算発表や、従業員・既存株主の一部が売却可能になるロックアップ解除も、当面の注目点です。
NASDAQ-100への採用は、SpaceXが株式市場で大きな存在になったことを示しています。一方で、それだけを理由に株価が上がり続けるわけではありません。
企業の夢や話題性に引かれながらも、「その期待は現在の株価にどこまで織り込まれているのか」を冷静に考えることが、IPO投資では特に重要だと感じました。

