最近、対照的な2つの言葉が話題になっています。
「NISA貧乏」と「NISAキャンセル界隈」。
どちらも新NISAの普及が生んだ言葉ですが、意味は真逆です。
データを踏まえて整理してみましょう。
NISA貧乏とは
2026年3月、衆議院財務金融委員会で「NISA貧乏」という言葉が取り上げられました。
金融担当大臣は「ショックを受けた」と率直に感想を述べ、「積み立て自体の目的化は全く意図していない」と説明しました。
NISA貧乏とは、将来への不安から必要以上に投資へ資金を回し、日々の生活が苦しくなってしまう状態を指します。
本来、NISAは生活を豊かにするための制度です。
ところが、投資すること自体が目的になってしまうと、今の生活を圧迫してしまう。
ここは確かに注意が必要だと思います。
NISAキャンセル界隈とは
一方で、NISA貧乏とは真逆の動きもあります。
それが「NISAキャンセル界隈」です。
口座は開設したものの、
「何を買えばいいかわからない」
「調べるのが面倒になった」
「なんとなく怖い」
「相場が下がりそうで始められない」
こうした理由で、投資額がゼロのまま放置している人たちを指す言葉です。
SNSを中心に広がっている言葉ですね。
NISA口座数と稼働率
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| NISA口座数 | 約2,826万口座 | 金融庁、2025年12月末時点 |
| 未稼働口座比率 | 約20% | |
| 買付額ゼロ円口座比率 | 約40% | その年に買付がなかった口座 |
データから見ると、買付額ゼロ円口座比率は40%近い水準でした。
これだけ見ると、「NISA口座の4割は使われていないのか」
と思ってしまいます。
でも、これは少し注意が必要です。
この数字は、あくまで「その年に買付がなかった口座」です。
たとえば、2023年に投資をして残高を保有している人が、2024年には追加投資をしなかった場合も、買付額ゼロ円口座にカウントされます。つまり、「一度も投資したことがない口座」とは違います。
仮に2025年12月末のNISA口座数2,826万口座に20%を当てはめると、約565万口座です。
これはかなり大きい数字に見えますが、裏を返せば、口座開設者の約8割は一度はNISAで投資したことがある、という見方もできます。
データで整理すると見えてくること
ここで一歩引いて、全体像を見てみます。
2025年12月末時点のNISA口座数は約2,826万口座です。
18歳以上人口を約1億673万人として単純計算すると、NISA口座の開設率は約26%になります。
つまり、成人のおよそ4人に1人がNISA口座を持っている計算です。
逆に言えば、まだ4人に3人はNISA口座を持っていません。
「NISA」に関するワードが社会問題のように取り上げられましたが、これは投資できる経済的余裕がある層の中での話でもあります。
そもそもNISAを持っていない人にとっては、生活を切り詰めて投資する以前に、投資自体がまだ選択肢に入っていない可能性もあります。
NISA貧乏とNISAキャンセル界隈。
2つの言葉が話題になる一方で、静かに広がっているのは、投資に参加できる層と、まだ参加できていない層の差なのかもしれません。
少額でも、資本を持つ側に回る意味はある
以前のブログで、ピケティの r>g の話を書きました。
資本を持つ側に回ることで、労働収入だけでは追いつきにくい資産の成長を享受できる。
その第一歩として、NISAはとても使いやすい制度です。
ただし、NISAは魔法ではありません。
積み立てれば必ず儲かるわけでもありません。
短期的には含み損になることもあります。
だからこそ、無理のない金額で、長く続けることが大事です。
NISA貧乏になるほど入れる必要はない。
NISAキャンセルのまま放置する必要もない。
生活に支障のない範囲で、少額から始めて、長く続ける。
これが、いちばん現実的な向き合い方ではないでしょうか。
まとめ
NISA貧乏も、NISAキャンセル界隈も、新NISAの普及によって生まれた言葉です。
一方は、投資にお金を回しすぎて生活が苦しくなる状態。
もう一方は、口座を作ったものの投資しないまま放置している状態。
真逆に見えますが、どちらも「何のために投資をするのか」が曖昧になっている点では共通していると思います。
データを見ると、NISA利用者は、NISA口座の開設率はまだ約26%。
稼働口座が80%、また前年買付があったのが60%なので、
日本人口の15%~20%が実質的なNISA利用者ととらえることができると考えます。
つまり、NISAは広がっているものの、まだ国民全体に行き渡った制度とは言えません。
投資は生活のための手段ですので、、、
生活を犠牲にしてまで積み立てる必要はありません。
含み損が出ても、慌てて解約する必要もありません。
自分のペースで、生活に支障のない範囲で、少額から続けていく。
長期的には、その小さな一歩が一番大きな差を生むと思っています。
※本記事は個人の考察であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

